2021.10.3
続 DM反応率が広告効果ではない理由
ダイレクトメール発送代行会社 サードパーティーの濱田です。前回の続きになります
効果検証にあたって留意すべきことは、公正な比較をするということです。前回の事例の小売店のケー スで本来比較すべきなのは、DMを送付した時と送付しなかった時でどれくらい来店者数に違いがあるか です。
実際、DMを送付しなかった時の来店者数は残念ながら分かりません。すでにDMを送付してしまったわけ ですから、「仮想の世界」の話となります。しかし知りようがない仮想的な世界ですが、効果検証がビジ ネスにおいて非常に重要ですから無茶だろうが難しかろうが正しく検証をしないといけないわけです。 そのため、十分に事前準備をして販促活動に臨む必要があります。
効果検証に必要な事前準備とは、「仮想の世界」を意図的につくり出すことです。
例えば小売りを複数店舗で実施している場合、あえてDMを送付しない店舗をつくることで「仮想の世界」を シミュレーションすることができます。DMを送付したA店の実績とDMを送付しなかったB店の実績の差分をDMの効果と考えるわけです。
これだけでは不十分です。A店とB店の他の条件が揃っていなければ、実績の差がDMの差であると主張することはできません。例えば両店の商圏人口が大きく異なっていれば、実績の差にも強い影響を与えるでしょう。
効果検証には、比較する対象間で施策以外の条件をできるだけ同一にすることが要求されます(図)。
apple-to-appleにするとも言います。比較するためにはりんごとりんごで比較してください、 りんごときのこを比較しても意味がないですよ、というわけです。
完全に同一にすることは、実際には不可能ですので、できる限り各種条件が似ている2店舗間の比較をしたり、ひとつの店舗のDMを送付地区を限定することでチラシ配布地区とそうでない地区の来場者を比較するなどの工夫が必要です。どちらの場合であってもダイレクトメールを闇雲に送付したら後の祭りですし、後者の場合には、来場者がどの地区から来ているかの情報がなければ評価できません。そうなると、来場者の居住地区をアンケートなどで知る必要があります。アンケートの準備をしていなければ、効果検証ができないのです。効果検証をしようとすると、十分な事前準備が欠かせません。
効果検証を適切に実施すれば、ビジネスにとって強い味方となります。少し手間を掛けて、より公正な効果検証を心がけたいものですね。