2021.10.30
ターゲットを絞ると売上が下がるのか?
ダイレクトメール発送代行会社 サードパーティーの濵田です。
ターゲットを絞ろう、というのはマーケティングでよく取り上げられることですが、同時に「ターゲットを絞りこむと売上が下がるんじゃないか」という不安を持たれている方も多いように思います。
ターゲットを絞ると売上が下がるという不安の背景には、「ターゲット以外からの売上は発生しない」という考えがあるのではないでしょうか。
例えば、左利き用文具は、左利きの人からしか売上はほとんど発生しないでしょう。このように、ターゲットを絞ることでマーケットが制約を受け、小さくなってしまうケースは確かに存在します。これをニッチ戦略と呼びますが、一般の文具マーケットと比べると明らかにマーケットサイズは小さくなります。「ターゲットを絞りこむと売上が下がるんじゃないか」という懸念は一見当たっているようにも思えます。
しかし、一般的な商材の場合、ターゲットを絞りこんでも、左利き用文具のようにマーケットそのものにまで制約が及ぶことはめったにありません。ターゲットを絞ったとしても、マーケットは絞られていないことがほとんどです。例えば、あるブランド化粧品を「20代女性」に特化して売り出したとします。このブランド化粧品は、20代女性以外は購入しないのでしょうか。おそらくそうではありません。30代が使ったり、50代が使ったり、男性が使ったりと20代女性以外の人も購入されるはずなのです。
このように、「ターゲットを絞りこむ」ことには二面性があるのです(図)。ひとつはマーケットそのものを絞り込んでしまうターゲットの絞りであり、もうひとつはマーケット自体は絞り込まないターゲットの絞りです。このふたつをきちんと区別して考えなければ、ターゲットを絞ることによって売上が下がるのかどうかも判断することができません。
販促活動においてターゲットを絞るのは、後者の「マーケット自体は絞り込まない」ケースがほとんどです。マーケットを絞り込むのではなく、コミュニケーションを絞り込んでいるといえばわかりやすいでしょう。ではなぜターゲットを絞るのかというと、ターゲットを絞ったほうが「誰のための商品・サービスなのかがわかりやすくなる」からです。
一方、ターゲット以外の人はどういう反応を示すのでしょうか?
実は、メッセージが明確になったとしても即座に離脱する現ユーザーは限定的で、多くの人は変わらずに選択してくれると考えられるのです。
20代女性にターゲットを絞り込んだブランド化粧品は20代女性のみならず、20代女性のようになりたい・見られたい30代、40代、50代の人も数多く購入していました。
このように、ターゲット以外からの拒否反応を極力抑え、ターゲット層やその周辺からの評価を高めていくことによって、マーケット全体における売上を最大化しよう、というのがコミュニケーションにおけるターゲットの絞り込みの目的です。ダイレクトメールもターゲットごとにメッセージを使い分けて配信することもできます。上手にターゲットを絞り、適切にメッセージを設計すれば、売上はまだまだ伸びそうですね。